脱税ニュース分析

No.023 【警告】威力業務妨害罪(誹謗・中傷等)で逮捕された場合の罪の重さと刑事手続きの流れ

極めて悪質な「悪戯電話」+「悪戯メール」に対する刑事罰について

「本件からの教訓としましては、数年間繰り返し「間違い電話等」を装い、極めて悪質な「悪戯電話」「悪戯メール」により威力や偽計による業務妨害罪(懲役3年以下等)が成立する業務妨害等を行なっている指示役は、極めて重い犯罪を犯し続けている事に気づいておられますか。「指示役」により依頼を受け電話をかけた「かけ子」は、自分は大したことないだろうと考えてしまうのでしょうが、捜査機関は悪質なケースの被害届けや告訴を受理し、逮捕勾留により身柄が拘束され、確固とした裏付け捜査により、ほとんどのケースがバレてしまうと言えます。検察により起訴された場合、「指示役」と共犯「かけ子」の余罪等を含む刑の重量とは??」

威力業務妨害とは?

威力業務妨害罪とは「威力を用いて人の業務を妨害した」場合に成立する罪です。

(信用毀損及び業務妨害)

第233条
虚偽の風説を流布し,又は偽計を用いて,人の信用を毀損し,又はその業務を妨害した者は,3年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する。

(威力業務妨害)

第234条
威力を用いて人の業務を妨害した者も,前条の例による。

引用元:刑法第233条・第234条

「威力を用いて」とは、人の自由意思を制圧するに足りる勢力を示すことをいいます。
「人の業務」とは、人が職業その他社会生活上の地位に基づき継続して行う事務又は事業をいいます。
「妨害した」とは、業務を妨害するおそれのある状態が発生したことをいいます。

威力業務妨害の刑罰は、第233条の信用毀損罪偽計業務妨害罪と同じ「3年以下の懲役または50万円以下の罰金」です。

 
 

威力業務妨害罪で逮捕された場合の流れ

威力業務妨害罪で逮捕された場合、以下のような流れで刑事手続きが進められていきます。

 
 

相手と民事問題に発展することも

比較的に早い段階で刑事手続きから解放されやすい威力業務妨害罪ですが、刑事手続きが終わっても全てが解決するわけではありません。威力業務妨害によって、被害を受けた被害者との民事問題があります。
被害者は、威力業務妨害によって営業ができなかったり、風評被害を受けてしまったりします。それによる損害賠償請求をされることも十分に考えられます。事件内容によっては、数百~数千万円の損害賠償請求をされる可能性もあります。

 
 

威力業務妨害の事例

事件番号
 昭和48(う)811

事件名
 業務妨害被告事件

裁判年月日
 昭和48年8月7日

裁判所名・部
 東京高等裁判所  第十二刑事部

判示事項
 たび重なる無言電話について偽計による業務妨害罪が成立するとされた事例

裁判要旨
 相手方の業務を妨害する意図をもつて、三ケ月足らずの間約九七〇回にわたつてなされた本件の無言電話(判文参照)は、受信者である相手方の錯誤ないし不知の状態を利用するものであるとともに、その目的、態様、回数等に照らし、社会生活上受容できる限度をこえ不当に相手方を困惑させる手段術策にあたり、刑法二三三条にいわゆる偽計を用いた場合に該当する。

引用元:https://www.courts.go.jp/

この判例は、営業時間中・時間外を問わず、執拗な迷惑電話は業務妨害が成立するという典型例だと言えます。

ちょっとした嫌がらせのつもりでも、後々の大きな民事問題に発展するまでの様々な状況があり、威力業務妨害として逮捕されてしまうケースも考えられます。
逮捕されて有罪判決が下されれば、身柄拘束を受けて解雇や退学といった不利益を受けてしまうだけでなく、前科がついてしまうことで社会復帰も難しくなるでしょう。

もしも身近な方が威力業務妨害罪で逮捕されてしまった場合は、少しでも早い解決のためにも刑事事件が得意な専門家に相談することをおすすめします。