1国税査察の「相談」は
「国税査察に精通した税理士」にすべし。

突然の査察調査で、日々、ご不安を抱えていらっしゃるかと思います。
強制調査(ガサ入れ)が入り、今後、ご自身やご家族、ご両親、会社や従業員はどうなってしまうのだろうか。このまま、告発されてしまうのか。マスコミに報道されてしまうのか。逮捕されてしまうのか。収監されてしまうのか。今まで築き上げてきたものを一瞬にして失ってしまうのか。

◇「告発」=99.9%有罪

告発されれば、99.9%が有罪となります。一方で、告発されていない事案も、実に40%もあるのも事実です(東京国税局/平成30年度「査察白書」より)。

◇「査察調査」の相談先は?

強制調査(ガサ入れ)は、毎年、全国で200件ほど着手されていますので、ほぼ毎日のように、全国どこかの場所で、ガサ入れが行われていることになります。通常、ガサ入れは、顧問税理士の事務所にも入りますので、とばっちりを受けた顧問税理士との関係もぎくしゃくしてしまうケースがほとんどです。そうすると、相談先は自ずと限られてきます。

◇相談は、査察調査の経験がある税理士がベスト

告発され刑事裁判になると、弁護士の出番となりますが、告発前の段階では、税務・会計実務に精通し、査察調査の関与経験のある税理士に相談するのが賢明と言えます。複数の専門家にご相談されることをお勧め致します。

◇孤立無援の相談者

ご相談をいただく中で、ガサ入れ後、会社の顧問税理士が、自己保身に走ってしまい、自分の味方として助けてくれないとの声も多く、依頼者の多くは、孤立無援の状態であることが分かりました。こうした中、毎週のように続く、国税局の取調べで、精神的に参ってしまい、正常な判断もできないまま、刑事裁判で証拠となる「調書」に、言われるがままに、サインをしてしまっている方も少なくありません。

◇「査察・告発見送り.com」の立ち上げ

そこで、査察調査のご不安を抱えられている全国の経営者の皆様方のお力になれればとの思いで、「査察・告発見送り.com」のウェブサイトを立ち上げました。思い立った時に、迷わず、ご相談いただければ、全力で皆様をお守りすることをお約束致します。
ご不安を抱えているのは、皆さんだけではありません。お一人で悩まず、国税査察に精通している税理士に、是非、ご相談ください。必ず、ご不安の解消に繋がることを確信しています。

まずは、お気軽にご相談頂ければと思います。

2国税査察の「目的」を知るべし。

◇査察調査の経験がない専門家(税理士・弁護士)がほとんど

査察調査となった以上、国税局の取調べには、誠意をもって対応していく必要がありますが、査察官がどういう目的で質問をしているのか、その真意を把握して置くことは、とても重要なことです。しかし、査察調査の具体的な内容について、ネット上でも、ほとんど見当たらず、どのように調査を進めているのか知る余地もありません。税理士など専門家の多くは、査察調査に関与した経験がなく、同業の税理士からも相談を受けている状況です。告発されるべきでない案件までもが、告発されてしまうことになり兼ねません。まずは、査察調査のことを知り、どのように対応すれば良いのかを考えて置く必要があります。

◇査察調査と税務調査の違い

査察調査と税務調査の違いを、きちんと理解されている方は少ないように思います。
査察調査は、犯則事実(脱税)の存否とその内容を解明することを目的とする手続きであり、犯則事実(脱税)が確認された場合は、告発が行われることになっていることから、実質的には刑事手続きに準ずる手続きであるとされています(金子宏(東京大学名誉教授)『租税法』)。

つまり、査察調査は、大口・悪質な脱税者を取り締まり、検察官に「告発すること」を「目的」としているのです。税務調査のように、申告漏れを見つけ、追徴課税やペナルティーを課すことを目的としている訳ではありません。査察調査は、犯罪捜査であり、脱税という犯罪事実を見つけ、脱税の証拠を集め、検察官に告発するために行われているのです。

◇強制調査でできること

査察調査は、刑事手続きに準ずる法令の根拠に基づき行われています(平成29年度税制改正により、「国税犯則取締法」は廃止され、「国税通則法」第11章に編入。)。
強制調査の際には、事前に、裁判所の令状が必要となっており、「臨検(一定の場所に立ち入ること)」、「捜索(犯則嫌疑者の身体や所持品を調べ、住居その他の場所に立ち入って探索すること)」、または「差押」をすることができます。

◇脱税は「故意犯」

「脱税」は、課税要件の充足の事実を全部又は一部秘匿する行為であり、「故意犯」とされていますので、「過失犯」は処罰の対象とはなりません。つまり、脱税事実の構成要件に該当する事実の認識が必要であるということです。
脱税の認識がない、例えば、うっかり売上を計上し忘れたとか、業者から節税と説明され、信用し、脱税になるとは知らずに行った場合などは、「故意」でなければ、脱税事件として処罰されないことになるのです。

◇「調書」のサインは慎重に

ただ、実務上、「故意」か「過失」かの認定は非常に難しい為、通常、「自白」や間接証拠(脱税事実)により立証されることが多いと言えます。この「自白」は、査察調査の取調べの中で「調書」として、被疑者に署名をさせ作成されるもので、刑事裁判の「証拠」として使われます。査察官が作成する調書の内容が、事実に合致しているものであれば、署名しても差し支えありませんが、もし事実と異なる内容が記載されている場合には、文言の修正を依頼すべきです。

◇査察調査の取調べは「任意」

また、査察調査の取調べは、裁判所の令状に基づく強制調査と異なり、「任意調査」となりますが、きちんと認識されている方も少ないように思います。「任意調査」である以上、質問に答えるかどうか、(罰則はありますが、)調査を受ける者の自由で、査察調査が、犯則調査を目的としている意味で、実質的に刑事手続きに準ずる手続きであるから、査察官の質問に対しては、当然に、黙秘権の保障(憲法38条1項)が及ぶと解されています(金子宏(東京大学名誉教授)『租税法』)。ただし、黙秘を続けていると、逮捕される可能性もある為、専門家に相談することをお勧め致します。

3国税査察の「手法」を知るべし。

◇「告発」のための「証拠」集め

国税局査察部が、脱税事件を検察官に「告発」するためには、脱税の事実を裏付ける「証拠」を集める必要があります。売上除外した現金がどこにあるのか、それを何に使ったのか、すべてを明らかにしていきます。売上除外や架空経費などは、帳簿書類を見ても分からない為、強制調査(ガサ入れ)で、「タマリ」と呼ばれる現金や貴金属等の現物を押さえ、また、脱税資金で、高級品やクラブやカジノなどの遊行費などに使った形跡がないかを調べます。なかには、別名義の口座に売上の入金があるとか、脱税資金が海外口座にプールされているなど、脱税者は知恵を絞り、脱税資金を隠していますので、丹念に、一つ一つ追っていきます。架空経費などは口裏合わせや証拠隠滅の恐れがある為、関係先へのガサ入れや取調べ、反面調査、携帯やメール、SNSなどで証拠を押さえ、脱税の全容を解明します。

◇査察調査は、「財産法的なアプローチ」

査察調査は、税務調査とは違い、損益計算的なアプローチではなく、財産法的なアプローチで調査を行っていると言えるでしょう。査察官が取調べの中で、数字が合わないと言っているのは、脱税額に見合う「タマリ」が見つかっていないことを意味しますので、知人への貸し借りはないのか、バックマージンがあるのではないか、頻繁に海外へ行っているが隠し口座があるのではないか、カジノに貸金庫があるのではないか、などといった質問が出たら、「タマリ」を探していると思って間違いないでしょう。

◇「証拠」が十分でなければ「告発」は難しい

「タマリ」を裏付ける十分な証拠が取れなければ、告発は難しくなります。脱税の疑いが強いと、強制調査に踏み切ったけれども、脱税の証拠が取れないなど、証拠不十分などを理由に、告発されてない案件が30~40%程度あるのは、こうした理由からです。

◇「税務調査」から「査察調査」への移行は意外に多い

査察調査の発端は、国税局がマスコミやネット等から入手した情報や通報(タレ込み)などを基に、内偵調査を行い、ガサ入れに着手するのが一般的ですが、所轄税務署や国税局での税務調査において、非違事項を発見したものの、任意調査の制約の為、証拠書類の入手が困難であることや、関係者と口裏合わせの疑いがあるが取調べまではできないなどの場合に、査察調査に移行することも少なくありません。所轄での税務調査後、早くて1か月から半年以内に査察調査に切り替わることが多いため、税務調査後の初動が非常に重要となります。

4国税査察の「実態」を知るべし。

◇「査察白書」の公表

国税庁では、毎年6月末に、「査察白書(査察の概要)」を公表しています。国税局・税務署の事務年度が、7月に始まり、6月に終了のため、年度末である6月末の公表となっています。「査察白書」には、1事務年度ごとの告発件数や有罪判決数などのほか、重点事案の実例紹介などがまとめられており、査察調査の状況を知りうる唯一の公表資料となりますので、動向を掴む上でも貴重な情報と言えます。

◇「国税局査察部」の組織体制

査察調査が行えるのは、全国11の国税局査察部(東京、大阪、名古屋、福岡、札幌、仙台、関東信越、金沢、広島、高松、熊本)と沖縄国税事務所のみで、最も規模が大きいのは、東京国税局査察部です。査察調査の内偵部門が17部門あり195名、実施部門が16部門あり177名となっています(令和元年度)。なお、各部門は、「統括査察官」を筆頭に、「総括主査」、「主査」、「査察官」により構成されています。

◇東京国税局の「平成30年度の査察調査事績(令和元年6月公表分)」

  • ・着手件数51件
  • ・告発率60.3%
  • ・1件当たりの脱税額(告発分)1.37億円(加算税を含む)
  • ・一審判決の有罪率100%
  • ・実刑判決率(執行猶予が付かない事案)7.5%
  • ・懲役月数13.8月(約1年2ヵ月)
    • 【参考】平成27年度の査察調査事績(平成28年6月公表分)より
      • ・1事案当たりの動員数155名
      • ・調査個所49箇所
      • ・調査期間9か月

◇「査察白書」の分析から分かること

「査察白書」を分析しますと、東京国税局管内でのガサ入れの着手は、51件で、ほぼ毎週のように行われていることが分かります。実施部門が16部門(査察21~36部門)ありますので、1つの部門で、年間3件程度(4ヶ月に1回)行われている計算になります。取調べ後、しばらくすると、担当査察官が忙しそうで、他の案件と掛け持ちしているのではないかと感じるのは、そのためかもしれません。

◇「告発率」は、「60.3%」と意外に低い

最も注目すべきは、「告発率」で、「60.3%」となっており、単純計算で、50件着手して、20件は告発されていないということになります。つまり、数字からも、告発されない可能性も十分あることをお分かりいただけるかと思います。

◇1件当たりの脱税額は減少傾向

1件あたりの脱税額(告発分)は、1億3,700万円となっていますが、これは「加算税を含む」と注書きされていますので、本税ベースでは、9,100万円ほどになるかと思います。最近のマスコミ報道では、数千万円の脱税で告発されたとのニュースも出ていますので、1件当たりの脱税額は、減少傾向にあるようです。

5国税査察の「流れ」を知るべし。

◇「ガサ入れ」から「判決」まで

査察調査は、まず強制調査(ガサ入れ)から始まり、強制調査当日、国税局での取り調べが2~3日、集中的に行われます。その後、1週間に1回程度の取調べが、通常、6ヵ月から1年程度続きます。その間、査察官は、押収した証拠物(携帯電話、PC、メール、SNSなどを含む)の調査や取引先や金融機関への反面調査を行いながら、取調べで、事実関係(裏付け)を確認します。調査の終盤では、検察官とも話し合いを進めながら、告発するかどうかを最終決定します。告発されれば、刑事事件として、検察官に案件が引き継がれます。なお、否認している場合などは、地検特捜部に逮捕されることもあります。逮捕された場合、検察官は48時間以内に裁判所へ拘留請求をし、認められれば、最初の拘留期限は10日間、必要な場合、10日間の延長がなされ、最終的に、被疑者を起訴するか、不起訴にするか決定しますが、ほとんどの場合、起訴されることになります。起訴されると、地裁で刑事裁判が始まり、通常、6ヵ月程度で判決が言い渡されます。

◇脱税の罰則

脱税の罰則は、10年以下の懲役若しくは1,000万円以下の罰金、又は併科となっています(平成22年度税制改正)。

◇「告発」前の対応が、成否を分ける

刑事裁判において、無罪を主張し、反論することはできますが、推計課税など証拠不十分の場合など一部の場合を除き、有罪判決(執行猶予を含む)となる可能性が高いため、脱税をしていないのであれば、告発前に、査察官に無実を主張し、税理士等の協力を得て意見書を提出するなど、最後まであきらめず根気強く対応することが重要です。告発されれば、99.9%有罪となります。そうすると、刑期や執行猶予に多少の違いこそあれ、どの弁護士に依頼しても結果は同じになるということです。告発されずに終わるか、告発されてしまうのかが、天国と地獄の分かれ道となります。結論として、告発されないことが何より重要であることがお分かり頂けたかと思います。無実であれば、最後まで、絶対にあきらめてはいけません。

ご家族、ご両親や従業員の皆さまのいつもの笑顔を、お約束致します。