脱税ニュース分析

No.025 納骨堂をめぐる法人税法違反事件で懲役2年の有罪判決

報道によると、納骨堂の運営に関連してコンサルタント料や広告宣伝費などの名目で架空経費を計上するなどして、法人税など約2億1,000万円を脱税したとして、法人税法違反などの疑いで起訴されていた刑事裁判の判決で、懲役2年、執行猶予3年の実刑判決を言い渡しました。

分析

報道では、事件の詳細は明らかにされていませんが、本件事案は、架空経費の計上による典型的な脱税事件となります。
また、脱税により工面した現金を反社会的勢力に手渡していた疑いで背任容疑でも捜査が行われていたとのことです。本件事案では、2010年~2015年までの5年間で、法人税や消費税など約2億円1,000万円を脱税したとされており、架空経費の総額は5年間で6億円にも及ぶと見られ、単純計算で1年間あたり1億2,000万円ほどを計上していたものと思われます。本件判決で明らかにされた脱税の手口は、複数の取引先にコンサルタント料や広告宣伝費などの名目で請求書の発行を依頼、取引先の口座へ振込み架空経費を計上、その後、取引先から現金で手元に還流させ私的な宝飾品などを購入に充てられていたとのことです。一般的に、現金取引は足が付きにくい為、脱税事件に絡んで用いられることが多い反面、協力者が多額の現金を口座から引き出す際、銀行窓口で使途の説明を求められ足が付くこと、受け取った多額の現金を手元に保管しなければならいこと、多額の現金を使う際、高額品の購入に充てられることが多くなり、脱税の裏付けとされるタマリを見つけられやすくなると言われています。さらに、脱税を計画・実行し、税務申告した後も、税務調査でバレてしまうのではないか、ある日突然、査察部のガサ入れ(強制調査)となり、逮捕され刑事告発されてしまうのではないかと、常に頭の中は不安と恐怖に支配され、脱税後も相当な神経を使わなければならないため、脱税で刑事告発された方の多くは、「脱税は割に合わない」と後悔の念に駆られているのが実情のようです。
本件事案からの教訓としましては、架空経費の多くは反面調査でバレてしまうことが多く、査察調査のターゲットともなれば、ほぼ100%の確率で補足され、悪質であるとの認定を受け、刑事告発されるケースがほとんどです。万が一、魔が差してしまった時には、「脱税は割に合わない」との言葉を思い出し、踏み止まって頂ければと思います。特に、急激に売上が増えた時、今まで見たこともない多額の納税額に愕然とし、脱税の誘惑に駆られてしまうケースが少なくありません。最初は、少額だったらバレないのではないかと罪の意識もなく手を染めてしまい、数年経っても税務調査が来ないことを良いことに、金額も大きく手口も大胆になり、ある日突然ガサ入れを受け、後悔する方が後を絶ちません。脱税をしてしまっているけれども、査察調査前に、「脱税は割に合わない」と気付かれ、反省の念を抱かれている方は、早急に税務の専門家である税理士にご相談頂くことを強くお勧め致します。