報道によると、東京地検特捜部は、2020年11月10日、架空の広告費などを計上し、法人税など約1,900万円を脱税したとして、東京都豊島区の医療コンサルティング会社の元社長と脱税指南した会社役員を法人税法違反などの容疑で再逮捕した。元社長らは、2020年10月21日にも、同様の手口で約3,700万円を脱税したとして逮捕されていましたが、11月10日付けで、起訴されています。
「逮捕」から「起訴」・「再逮捕」までの経緯
- ・2020年10月21日東京地検特捜部が「逮捕」
- ・2020年11月10日東京地検特捜部が「起訴」、「再逮捕」
報道では、事件の詳細は明らかにされていませんが、脱税で「再逮捕」された事件で、いわゆる「B勘屋」と呼ばれる脱税指南グループを利用し、架空の広告宣伝費を計上するなどして、平成30年7月までの3事業年度に約1億3,000万円の所得を隠し、法人税など約3,700万円を脱税したとして、東京地検特捜部に逮捕され、20日間の拘留の後、起訴されましたが、同じ日に、実質的に運営していた法人でも、同様の手口で、約8,500万円の所得を隠し、法人税など約1,900万円を脱税したとして、東京地検特捜部に再逮捕されました。脱税事件で「再逮捕」されるケースはありますが、本件では、ともに逮捕、再逮捕された「B勘屋」グループが関わっており、取調べのなかで「別件」が発覚し、再逮捕されたものと思われます。「B勘屋」グループの手口は、自社名義の口座に、広告宣伝費を支払ったように見せかけ、その後、キックバックしていたもので、告発後、脱税幇助の容疑で逮捕、再逮捕されました。脱税幇助の場合、いわゆる脱税正犯の刑(10年以下の懲役もしくは1,000万円以下の罰金)より軽減した刑となりますが、実刑となる可能性も非常にあります。
本件からの教訓としましては、意外と、脱税幇助をしてしまったとの相談は多く、専門的知識がないまま、節税の一環と言われ、軽い気持ちで脱税に加担してしまったり、逆に、巧妙なスキームを用いて、節税と称し架空経費の支払いを持ち掛けられ、脱税してしまうケースなど後を絶ちません。最近の脱税事件は小粒化し、数千万円の脱税でも、強制調査となる事案が増えていますので、この程度の脱税で、マルサが入ることはないだろうという安易な考えを捨て、業者などから節税の提案を持ち掛けられた時は、自分で勝手な判断をせず、節税専門の顧問税理士に相談することで、査察調査、告発、逮捕、追起訴、実刑という最悪の事態を回避できるかと思います。